「尿道形成術後の外尿道口形態が尿線に与える影響に関する調査研究について」
本稿pdf.こちら
このたびは、上記の研究にご参加をお願い致したく、説明をさせていただきます。
私はFTMの渡辺匡人と申します。FTMが尿道形成後も、スムーズに排尿をするための、尿道口の形について 調査研究を行っております。
FTMが受ける下半身のSRSには、尿道延長、マイクロペニス、陰茎形成があります。手術によって尿道が生 来の自然な形ではなくなることから、術後に排尿をする時、尿が割れたり、周囲に飛び散る、出しにくいなど スムーズな排尿を出来なくなる方がいます。 尿が溜まり、尿道が良好な状態にあれば、1本の線や弧を描くように尿が排出されます。尿道形成術後にそれができなくなる原因として、尿出口部分形態との関連が予測されます。尿道形成術を受けたFTMの皆様方に、調査へのご協力をいただければ幸いです。
研究では外尿道口の形と、排尿時の尿線が分かる動画から双方の関連性を分析し、1本の尿線となる尿道口の パターンに焦点を絞ります。
尿道形成術は先天性疾患による生来の男性やFTMのSRSで行われますが、いずれも難易度が高い手術で す。手術最大の目的として「膀胱から尿を体外へ出す管」の形成が優先されます。一方、患者個人としては尿がまっすぐ飛んでこそ”立ちション”ができるもので、座って排尿をするFTMにおいても、術前通りに尿がまっすぐ飛ぶことは重要です。 尿線が1本の腺となる尿道口の形態を明らにすることは、FTMの尿道形成術後の排尿の質、を担保する重要な研究になるものと信じております。どうかご協力いただきますよう、お願い申し上げます。
なお、研究代表者は、
からぁ訪問看護ステーション(大阪市)の渡辺匡人です。
目的をご理解頂き、研究参加に同意して頂ける折には、ホームページ(TGケアネット)上に設けた尿道口の調 査協力窓口(本ページ上から)から詳細書類を確認いただき、必要なデータをご提出頂きますよう、お願い致します。
記
1, ご協力いただく研究内容
1)対象者
尿道延長、ミニペニス、陰茎形成などの[尿道形成術]を受けたFTM。瘻孔があり尿が複数から漏れる、尿 がまっすぐ飛ばない、など尿線に異常がある方も対象となります。
2)方法
①事前調査票へのご記入(添付資料1)。
②外尿道口の正面画像1枚(添付資料2参照)。
③排尿開始から終了までの動画を、尿の形が分かるように撮影(添付資料2参照)
2, 研究に参加する期間 2017年4月~2017年11月
3, 倫理的配慮 1) 研究に参加していただいた場合の利益と不利益
【研究参加にあたっての不利益】
質問紙回答時間、動画及び画像撮影時間は合わせて5分ほど要します。 プライベートな行為である排尿の様子を撮影すること、成果発表により第三者の目に触れる心理的負担があることは否めません。
成果の発表にあたっては、プライバシー保護に最善策を取りたいと考えています。これによって、研究対象者に与える心的負担を最小限にするように努めます。
【研究参加にあたっての利益】
本研究では、FTMが尿道延長後に排尿をしやすい外尿道口の形態を解明することで、初回形成時や再形成時に有効な医療介入を検討するための、基礎資料としての性格を持ちます。尿道形成術を経験したFTMの、 外尿道口形態と排尿時の尿線から、その内容を質的に分析していくことができるからです。術後の排尿で生来の女性型尿道では見られなかった排尿の異常が起きた原因を明らかにすることにより、将来的によりきめ細かい支援体制を整えることに結びつく可能性があります。
従来も、先天性疾患による尿道形成術の文献はみられるものの、尿道形成術後の尿線異常と尿道口の形態に着目した調査研究はみられません。難易度の高い尿道形成術は、尿を身体の外へ排出する経路の確保、が至上命題となります。尿道口の形成に関して各医療機関では、経験的に独自の取り組みが行われていると考えられます。しかし、先行研究の蓄積がなく、放物線状の尿線が確実に得られる外尿道口の検討をするには、十分とは言いがたい状況にあります。
本研究成果は、外尿道口の形態が尿線に影響すること、排泄の質に寄与することの証明。そのため、尿道形成時には外尿道口の形態にも注意が必要であること。また、再形成時に尿道口の形態を検討する際は、患者と医療者双方への重要な情報提供となります。
2)自由意思による参加 この研究に参加頂くのは、ご本人の自由です。
3)同意の撤回の自由 この研究に参加することを同意した場合でも、いつでもこれを撤回できます。撤回することによる不利益を生じることはありません。
4)成果のプライバシー、 分析後のデータの取り扱いについて研究対象者のデータは記号化して入力するものとし、郵送、メール経由でデータを頂いた場合は、封書メールアドレスなど個人が特定されそうな情報については、全て破棄いたします。得られたデータは、本研究以外の目的で使用しません。
5)研究結果の公表
・2018年3月開催のGID学会(東京開催)への演題提出。
・特定非営利活動法人 医桜への投稿(現役医療者による医療情報ネットワーク運営サイト)
・本研究者の運営 TGケアネットへの掲載
・英論文での投稿(投稿先検討中)
4,この研究に関する問い合わせ先
からぁ訪問看護ステーション 渡辺
〒557-0032 大阪府大阪市西成区旭3-4-14ピジョン花園1Fからぁ訪問看護ステーション
TEL 06-4394-8717 mail: nelayan_kozou@yahoo.co.jp